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はこふたご [会話文]

「どうぞ、粗末な貴方に差し上げます」

「またダンボール箱……流行ってるのか?」
「おや、もっと感謝してください、ハロウィンプレゼントと思ってくださって結構です」
「わ、わーい」
「では、みすぼらしい人間らしく眼を輝かせて箱を開けてください」

「……やっぱり、空か」

「貴方にはそれが最も相応しいでしょう」
「お前の兄も……ああ、同じ様にダンボール箱をくれたんだ」
「えっ、に、兄さんが? 自分でプレゼントを?」
「好きな風に使える箱……ってな、なぁ、お前はどうして空の箱をくれたんだ?」
「好きな風に、使える、ですか……そうですか……自分、で」
「自分で好きな様に考えてな」

「今日は特別に教えて差し上げましょう、厚かましい、とは言わずにね」
「ありがとう」

「わたくしは……貴方に足りない物が無いから空の箱を差し上げたのです。」

「そうか」
「ふふふ、『何も無い』なら、貴方もまだ持ってはいないだろうと思って」

「言っとくが、俺は自分で解りすぎる程に足りない物だらけだぞ」
「ご謙遜を」

「よし、じゃあその箱の中に入れ」

「はい?」
「俺に足りない物を入れるんだ。入ってくれ」
「……貴方」
「あ?」
「時々、とんでもなくクサい事平然とやってのけますよね」

「まあな」
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