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人はパンのみで生きるにあらず [会話文]

「なぁ」
「ぷーん、アンタから口聞くなんて明日は世界の終わリ? ぷぷーん
赤ちゃん赤ちゃン、これが世にも珍しい喋るパパですヨー」
「そう邪険にしないでくれ、というか、俺頻繁に喋ってるだろうが」
「邪険とかそういう風に勝手に解釈してるのはそっちじゃン、被害妄想なノ? ウザーイ」
「……今の俺って、お前達と同居しているというより、お前達の家に居候しているんだよな」
「うン、イイとこニート、もっと良くて引き篭もリ、もう少し落として廃人だよネ」
「主にお前達の所為だけどな」
「そうだヨ」
「せめて否定してくれ」
「バーカ、此処はウチとウチの家族とその家族とおじさんとこれから産まれて来る赤ちゃん達の家。
これなら余計な敬称無いでショ? 最初に考え付かなかったノ? リピートアフターミー」
「俺とお前とお前の家族とその家族と俺とお前とお前達の間に産まれる子達の家」
「よく噛まずに言えましタ、パチパチパチ。おじさんは立ち寝って出来ル?」
「唐突な。目を明けたままするのも、呼ばれる一呼吸前に起きるのも得意だ」
「ソ、人間は寝るだけだったら何処だって出来るヨ、山でモ、谷でモ、泥の中でもネ。
ジャ、賞味期限が二日位切れた物、食べられル?」
「牛乳以外なら気にしないが、そうなら進んでは食わん」
「解ってるじゃン、喰うだけなら泥食って汚水啜っても、人間ってしぶとく生き延びれル。
獣でも自分の尿を飲むなんて滅多にしないのにネ。でもオジサン、ヤでショ? そんなノ」
「辛い、な」
「親は居ずとも子は育ツ、オジサンやウチが居なかったとしてもこの子は産まれたなら育つだろうシ、どちらかが居れば親が居タ、って事にはなるんだろうけド、それじゃ駄目。欠けてる事実は変えられなイ。
そんデ、二親がちゃんと揃って居たとしテ、どちらか片方が自分の適当な理由で惚けてても子供の側としちゃそんな奴は親じゃなイ、でも親。悲しイ、寂しいヨ、何も感じなくなるまでネ。ウチなら殺してやル……あレ? もう殺しちゃったカ。」
「…………」
「折角、みんな、余計なのまで沢山全て揃ってル。だから、此処は家族の家じゃなキャ」
「………………」
「オジサンがうだうだ悩み腐ってる間にこの子やこの子の兄弟は育つシ、ウチや他も母になってる……誰が如何、口では何と言っても、少なくともアンタはこの子達の父親だシ。ウチにとっちゃ、その大切な……片割れダ、これ以上何が欲しイ? 強欲にも程があるんじゃないノ?」
「………」
「遂に言葉まで喋れなくなったノ? 猿なノ? 類人猿なノ? 新人類なノ? バカなノ? 死ぬノ?」
「いや、想像以上に嬉しくてな」
「ぷーん」
「なぁ」
「何?」
「愛してる」
「知ってタ、でもアリガト」
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