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企画:今回の話は、えいらくにーちゃに「スキモノ」と言わせたくてやった。 [拉致]

今回はこんなもんというより、学校を早退するレベルで風邪引き中、ゲロゲロ。
関係ないですが、その内世界観設定に、ちょっとっつ加筆修正いれる予定です、ゲロゲロ。
企画小説が本気で短いので、今回のは②じゃなくて、(1.5)です、ゲロゲロ。
こーゆー時は、定晴さんちの美味しそうなお子様を見て、このやりきれない気持ちをぶつけよう。
それにしても本日はハロウィンを続行して居ると言うのに、11月11日の兎とホッキーの日。
よし、明日が11月11日だ、絶対そうだ、断じて忘れていた訳では無いよ、ほんとだよ。



コチラは、定晴さんのみ、お持ち帰り、転載できます。

童話企画
青色の火の中に(1.5)

登場人物:泳楽さん ドルミン

今回の最後は、二部構成だから『続く』

昔々度:★☆☆☆☆
精神有害度:★★★★☆
(超絶短い、本気でSS)
(超シリアス、今後もシリアス)
(エロっぽいものもちょっぴり)







軋む大きなドアの音が、元々は茶色いが老朽化のせいで真っ黒に変色した、木の床と擦れて女の悲鳴にも似た、そうとも言えないような、なんともいえない音を立てます。

此処は教会、緑髪の泳楽が当初の目的地として目指していた場所で、教会とは名ばかりで申し訳程度の十字架が奥にあるだけで、一応はある黒い長椅子は古すぎて木目を剥き出しにし、手に棘が刺さってしまうと危ないので、誰も座ろうとしません。
こんな場所に泳楽は何の用事があるのでしょう、彼は彫刻刀の代わりを調達する為に来たのですが、こんな所に目当ての物があるとは思えません。
この教会でミサが行われなくなってどれ位経ったでしょうか、ミサのための葡萄酒や蝋燭が恐ろしい値段になってしまった時からです、礼拝に来る人が居なくなってからどれ位経ったでしょう、この朽ち果てた有り様を見れば否応無しに解ります。
神を無くした国に、どうしてわざわざ教会なんて作っておくのか、無駄な物なら壊してしまえば良いだろうに、泳楽はそう考えると、この街の役人が心底バカすぎて笑えてしまいます。
泳楽は腐った床を踏み抜かないようにしながら、最も奥にある懺悔室に向って、出来る限り足音を立てずに歩きました。
別に教会だから、という訳ではありません、まかり間違って下の床を壊してしまったら、下からシロアリの群れがわじゃわじゃ出てきたりするのですから、そんな事にはしたくありません。
あと、もう一つ……、あの懺悔室から足音を聞きつけて、見苦しい形相で何者かが飛び出してくるのが嫌だからです、今回はそんな事にはなりませんでしたが。

懺悔室のドアを、誰かがバタンと開けて出てきました、中から出てきたのは中肉中背な中年の男性、服装を見る限りだと、クリスマスには家族とターキーが食べられる程度のお金は持って居るでしょう、その顔には疲れが滲んでいますが、とても満足そうです。

そしてそれに続いて、シーツ一丁という扇情的な出で立ちの、金色の長い髪の……よくみれば桂を被った、ピンクブロンドの混ざった白髪をした子供が、その男性を見送るために出てきました。

泳楽は二人がなにやらごにょごにょと、別れの前のキスを交わしているのを見送った後に、とても場の空気に合わないような言い方で言います。

「本当に、ドルミン殿はスキモノでありますなぁ、今日はもう何人相手にしたんでありますか?
聖職者より、性職者に改名した方が似合う出ありますよっ☆」

「性職者、そうしてくれと、もう三年は役人さんの方にも言っているのだがね、そこを通してくれないどころか、今日も危うく縛り首にされかかってしまったのだよ。
ああ、懺悔の予定だったら今日は十八人位かな、後の予定がつかえてるけど、君だったら今直ぐで良いのだよ?」

ドルミンと呼ばれた子供は、頭に被った金髪の桂をずるりと取ると、身に纏ったシーツで自分の体を拭いたり、途中で手にとって舐めたりしました。
驚かれそうですが、この彼はこの教会の神父であるドルミン神父といって、元々は彼らの親が守っていたこの教会を両親の死後、こうして一人で守っているという訳です。
それにしても、この神父はどうしようもない色魔で、こうして懺悔の名を借りては懺悔室に男を連れ込み、奥の自室で卒倒したプレイに興じては悦に浸っているという人物です。
まったく、まだ見た所親の手を離れて生きれない年齢だというのに、末恐ろしい子供です。
彼と泳楽はかれこれ二年前に、青○をしていたドルミンと泳楽が出会うという形で知り合って以来、なんだかんだでズルズルと友人関係になっている訳ですが、そこまで仲が良い訳でもありません。

「彫刻刀の代えが切れてしまったのであります、それで一本貸して欲しいであります!」

「かれこれ君には三十六本程貸しているのだよ、まあ、私は使わない、別に構わないのだよ」

ドルミン神父の下には、色々な男性が現れては色々な自分の趣味を楽しんで、ドルミン自身はそれを無償でしているのですが、時々そのお礼として食べ物や趣向品をくれる人も居ます。
さっき懺悔室から出て行った男性も、そんな中の一人で、彼自身が貴族に仕える彫刻家で、自分が使った道具ならそれなりの値がつく、という理由から、彫刻刀やら筆やらを貢いでくれます。
そこに目をつけたのは泳楽、ドルミンはまあ多趣味な方ですが、小山の如く沢山の物を貰っても、慈善事業以外に使わない上、慈善事業にもひっくりがえる位の重税が掛かるので、悲しい事に大量に余ります、それをくすねて行けば必要経費はゼロ円、画期的です。

今回も交渉は成立、ドルミンは物に対する頓着があまりにもなさすぎるので、こうやってホイホイと泳楽に物を与えます、泳楽にとってはとてもありがたい事なのですが。
何時もなら泳楽はこのまま品物を受け取って、自分の姿が人の目に映らないようにサッサと帰るのですが、今回は少しだけ勝手が違います、珍しくドルミンに聞きたいことがあるのです。

「恩に切るでありますっ♪
ところでドルミン殿、前髪に玉飾りのついた紫色の髪で、全身に刺青のある子供、知ってるなら誰だか知らないでありますか?」

「珍しいね、君が人探しかね?」

自分の手首の窪みに溜まったべとべとの液体を、色の薄い舌でちろちろと水を飲む蛇の様に舐めながら、ドルミンは視線だけで泳楽を窺いました。
泳楽は続けます、その様子には別になんといった事は無さそうですが、ほんの少しだけ楽しそうな様子でもあります、まるで新しい友達の出来た子供の様な、そんな様子です。

「此処の前の道で、脂ぎった男性の頭をカチ割っているのを発見したのでありますが、ちょっと自分の知った顔じゃなかったから、興味があるでありますよ」

「やれやれ、彼はまだそんな事をしているのか」

そうドルミンは言うと、泳楽を奥の部屋に通し、その全身に刺青のある子供の話を始めました、ドルミンの部屋は基本的には殺風景で子供らしくなく、なんかやたらとベットだけゴージャスなのですが、隣り合った物置の中には外から見ても物がごったがえしています。
少しはにかんだ様に笑って話をするドルミンの様子は、まるで自分に良く懐く、お気に入りの末息子の話をするようで、話の内容の殺伐とした部分を緩和させている気がします。

「いやぁ、ね、彼は人間じゃないのだよ」

「まあ、その辺は餓えた溝鼠でも判別可能でありますよ」

「ふふ、驚かないね、彼は昔、王宮に勤めていた優れた人形師が最後に作った遺作、まあ遺作と言っても、遺作が全て価値があったって事はなくて、あの刺青の人形もその一つだったのだよ、誰にも見向きもされないまま、朽ち果てる定めを持って此の世に生れ落ちたのだよ」

「それが動き出したでありますか?
まあ、器物千年を経て精霊を宿す…なんて埃臭い言葉があるでありますが、論理的にありえないでありますよ」

「酷いのだよ、君が否定してしまっては、私の説法が意味無くなってしまうではないか、なのだよ」

「そーゆーのは、アンタみたいな拝み屋に任せるでありますよ、自分みたいな民草に、気になるのは何処にいるかでありますっ♪」

「経過と過程をぶっ飛ばすのは、君の悪い癖だと思うのだがねぇ、ま、君はそれで今日まで賢く立ち回ったみたいだし、残りは今度話すとするのだよ☆」

彼は今の時間なら、三番街にいるよ。
たったそれだけの簡潔な言葉と、簡単な地図を受け取ると、泳楽は満足そうにして、一回脱ぎかかった外套を羽織りなおすと、教会から出てゆこうとしました。
仕事を持ち越すことは嫌いで、今回はそのために此処に来たのですが、今は彫刻刀や青少年のオカズなんて如何でもいい事です、だって久しぶりにオモチャに出来そうな人間が現れたんですもの!

そうと決まれば善は急げ、まあ自分が善人だとも思いませんが、黒い外套を翻し、教会の真っ直ぐで長い通路を突き進む泳楽の口元は、また自然と笑ってしまうのです。
見送る為に現れた、まだシーツ一丁なドルミンと目を合わせると、泳楽はそのにこにこと笑った目をぐるりと回して、教会の中をまじまじと見ました。

不貞に浸る子供と、それを貪る大人、朽ち果てた教会に、錆び付いた聖人の十字。

「まったく、神様は本当にクソくらえでありますねぇw
何を考えてるんでありましょう、どうしようもないであります、そんな掃き溜めを信仰しているアンタも、とんでもないバカであります★」

「なにも一枚板に人を救うのが神ではないのだよ、時に罰を与え、罰の先には許しがある、貴族には貴族、奴隷には奴隷の幸せがあるのだよ。
私が言うのなら……間違いじゃないのだよ?」

肩眉を上げるドルミンに、大げさな動作で別れをした後、泳楽は今度こそ振り返る事無く教会を後に、三番街へと歩き始めました。
外はまだ雪雲が漂っていて、雪が降る気配はあるのですが、降ってもこないという、非常に中途半端な有り様です。

こんな友情と呼べるかどうかすら解らない関係が、ずるずると水に濡れた布を引きずるように、この二人の間で二年も続いているのです。


続く…

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