SSブログ

企画:131符「アイス喰うホール」(前編) [拉致]

そう言えば今日、学校への通学中の電車で私と同じ位の年頃の女の子が、携帯電話に大量の『まりも○こり』をブラさげていたんですよ、それも一個二個だなんて生易しい物じゃなくて、二十個位。
一体『まりも○こり』の何が彼女をそこまで駆り立てているかは解りませんが、久しぶりに猛者を見た気がします。



コチラは、定晴さんのみ、お持ち帰り、転載できます。

童話企画
小さなてのひら。①

登場人物:琶琉君 裏琶琉君

正に外道!!!

昔々度:★★★★☆
精神有害度:★★★☆☆
(会話文回です)
(2人の関係に関して、独自解釈アリ)
(短いです)







家を半何も考えず、反射的に逃げ出した琶琉君は、追ってくるであろう相手から逃げる為に、夜の森をがむしゃらに走りました。
夜の森は真っ暗です、今の時代には便利な事に街灯なんて物がありますが、この時代にはそんな物はありません、大規模な停電を味わった事のある人なら解るかもしれませんが、本物の闇が森を歩く琶琉君を包んで放しません。
耳には聞いたことの無いような、怪物じみた獣の雄叫びが、右から左から容赦無く襲い掛かって、何時本物の獣が襲いかかってくるか解りません。
その上森の中は常に湿気が多くて、秋になれば湿気を含んだ風は冷えて、夜の森は凍えるような寒さで、琶琉君は寒さに震えます。
その上此処は迷いの森と呼ばれていて、異常なまでに入り組み、木が空を覆い隠すようにして生えているせいで、昼間でも薄暗く、大人達は子供に必ずこの森に入ってはいけないと教えるのです。

一度入ったら二度と出ては来れない、それでも琶琉君は森をひたすら走り続けて、もう誰も追ってはこれないだろう、と思った頃に……。

「此処までくれば、あいつも追って来れないだろ……!」

「ところで……此処、何処?」

やっと帰り道が解らない事に気が付いたのです。

琶琉君は家から森が近かった事もあって、この森に何度も来た事がありました、その度に野イチゴや苔桃を取って帰って、ジャムにしたりしました。
けれども、その時帰り道の目印にして居た変な形の石も、もう居ないお父さんのそっくりだと笑ったあの木も、今はどこにもありません。
空を見上げてみます、木と木の狭間から見える星はらんらんと光っていますが、北を示す大きな星は見えない上、今日は新月のようで、琶琉君を励ます筈の月もお休みしています。
もう一度、自分達が歩いて来た道を辿ってみました、ところがこんな真っ暗闇の中では、自分達が真っ直ぐ歩いているのかさえ解らず、更に迷ってしまいます。

琶琉君は、本当に迷子になってしまったのです。

でも、仮に迷子で無かったとしても、琶琉君は帰る事は出来なかったでしょう、裏琶琉君が家に帰るのを本気でしぶっているからです。
琶琉君は、もう一人の自分がどうしてそんなに家に帰る事を嫌がっているのかが解りません、何度も何度も説得を試みるのですが、その度に『嫌だ』で返されます。

「もう帰ろうよ、ドルミソ君もきっとそんな意味で言った訳じゃないんだって」

「いいや帰らないね、これ以上あんな所に居たらその内少年Aにされちまうんだぞ、我輩はそうなるのは嫌だ、それ以上言うなら琶琉だって許さん」

「ホラホラ、僕、夜食にするためにこっそりパン持ってたんだ、これあげるから帰ろ~?」

「お前は我輩をなんだと思っているんだ……?」

すると、しょんぼりと俯く表琶琉君、それに対して自分は犬と同程度にしか思われていないのかと、自分の人生に自信を無くしかけて落ち込む裏琶琉君。

「だって……君が勝手に飛び出してったから、こんな事になっちゃってるんだし……」

そんな事を言われてしまって、落ち込むのを止める裏琶琉君、この後の事より、男のプライドに関わってしまう事の方が、彼にとっては大惨事です。
裏琶琉君は意味不明な勇ましい声を上げると、近くの木に手を当てて更に大声をあげました。

「それなら我輩流の、森脱出方法を教えてやる……こういう迷路みたいな所は、何かに手を当ててずーーーっとそれに沿って歩いて行けば、何時かは脱出出来るんだよ!」

そう言って、裏琶琉君は手を付いた木をなぞる様にして、歩き出します。
まあ、当然と言えば当然のこと、同じ所をぐるぐる回って、このままだとバターにでもなってしまいそうな勢いです。

「おかしい! 目が回る!!」

裏琶琉君、その事は全く想定していないらしく、さっきから真剣に同じ所をぐるぐる回っています、終わった、琶琉君はこのまま餓死エンドを迎えそうですよ、奥さん。
その上それを静止する気も無い表琶琉君、鬼畜です、時として天然程鬼畜になりきれる人種は居ません。
もうその光景は新たな芸術のようです、その内光の速さを越えて、無限の宇宙へ向って飛び立ってしまうのではないかと思わせる雄雄しさがあります。
それを増徴させるのは、裏琶琉君自身が激しい雄叫びを上げつつ、一周木の周りを回るごとに10倍スピードを上げて走り直すからです。
最早熟練した森のハンターである狼ですら、彼等に怯えて近付く事はありません、わかりますか? 高速回転する肌色の円が、近づけますか?
ひとしきり同じ所をぐるぐるし終わった裏琶琉君は、がっくりと疲れで倒れると、仰向けになって、自分が時間をドブに捨てるようなマネをしていた事を激しく後悔した後、膝を抱えて丸まりました。

「ねえねえ、膝抱えて丸まって鳴かないでよ、凄く情けないよ」

「うるせぇぇぇぇぇうわーん、悔しさを言葉に表すなら、長い事セーブしてない状態でゲームやって、ボス間近で猫にゲーム蹴られる位悔しいーーーー!!」

別に涙は流していませんが、うわーんと言うのは演出みたいなものです、普段から裏琶琉君は周りの人間の奇行にツッコミを入れていますが、傍目から見れば本人も十分奇行士です。

「その例えは生々しすぎるって、でもほら、別の木ならきっとたどり着けるから」

そんな訳ありません、表琶琉君は裏琶琉君を何回ぐるぐる回したいのでしょうか、天然は時として、本物の鬼畜になります、大切な事なので2回言いました。
だがそんな事知ったこっちゃない表琶琉君は、一本の木を選ぶと『この木こそ辿ればきっと帰れるだろう』と、言って辿らせようとします。

「いや……駄目だろこれは」

裏琶琉君は顔面に嫌悪感を滲ませつつ、拒否します。
あまりの嫌悪に、裏琶琉君は表琶琉君の裏側に隠れてしまった程で、後でその事が悲劇を起こすとは裏琶琉君は知るよしもありません。
それもそのはず、この木は何でだか知りませんが、一本の極太で葉が少ない木の左右に大きめな岩が1つづつ配置され、相当古い木らしく、根元の方には苔が生えているという……。

「この木だったら大丈夫だよ、だってこの木はあの、ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲にそっくりなんだよ!?」

ハイ、そんな感じなんです。
男性向けエ□スには、小さい妖精さんに全身使ってご奉仕して頂く、なんてジャンルがあるらしいですが、そんな腐れた物を疑似体験できる、活気的な木なんです、ハイ。
裏琶琉君、全力で嫌がっています、それでも琶琉君は情け容赦無くもう一人の自分に、この木に手を付いて激しく擦る事を要求します、なんか違った気がしますが、気のせいです。

「無理だ! こんな…こんな丸2つと棒1本に手を付いてぐるぐるするのは!」

裏琶琉君、意地でも名称は言いたくないようです、比喩的な物だけでも、自分の口の中が汚染されそうで、首を全力で振りたくって拒否の意を示しています。
それでも表琶琉君はやめてくれません、今の表琶琉君には、このネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲と触れ合う事が最優先だったのです。
そして、悲劇は起こるべくして起こりました、べちゃっ、嫌な手応えと共に、琶琉君の手がネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲似の木に触れ合います。
ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲似の木の表面はベタベタとしていて、いやらしく表面に湿気を含んで、少し弾力がある柔らかさです。
その上、触れば触るだけ、押せば押すだけ中から樹液の様なものが出てきて、手をベタベタに汚してしまいます。
しかも、その樹液と言うのが、木なんだから大人しく黄色い樹液を垂れ流していればいい物を、何だか白っぽくてドロドロした液体を出します。
表と裏の2人は、感覚ほ共有しているので、表琶琉君が触れば当然裏琶琉君も感じます、地獄絵図です、裏琶琉君は身悶えて泣き叫んでいます。
嗚呼、こうなったのは全てあの3年放置された牛乳製造機野郎が悪いのです、アイツさえ此の世に存在しなければ、現在の地獄を味わあずに済んだと言うのに。
その事を考えただけで裏琶琉君は、ドルミンは此の世から抹殺するべきだと思うのです、一刻も早く死ぬべきだと考えるのです。

まあ、掌が白っぽい樹液でベタベタになって、その樹液が妙に青臭かった事実は、如何頑張っても消えないのですが。

そしてまた疲れて立ち止まると、上に住んでいた小動物が驚いて飛び出したらしく、その衝撃から上から大量の雨水が琶琉君の体を汚しました。
○射……とか言っちゃいけません、約一名はそう感じたらしく、意気消沈として膝をついていますが。

「我輩……穢されちゃった……」

「うーん、何時まで経っても帰れないねー」

そして、表琶琉君は更なる悪魔の提案をします。

「あ、そうだ、木には悪いけど、見たことのある木に傷をつけて行けば、現在位置ぐらいわかるんじゃないかなぁ?」

琶琉君は、手始めにネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲似の木に傷をつけようとします。
ですが、あの木は何かを……そう、男の間でも何があっても互いに攻撃しあってはいけない、その場所を狙って攻撃すると言う事は、自分も殺されても構わないと言う覚悟をしなければならないというアレの事を連想させるのです。
そんな物を切りつけられては、まだ性に目覚めていない表琶琉君は平気ですが、裏琶琉君はとんでもないことになってしまいます、自分のネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲が切りつけられる事を、疑似体験してしまうのです。
一見それは私のような女には理解し難いですが、私達も映画とかの痛いシーンで、妙に痛い気分になってしまう時はあるように、それは男性的にとんでもない苦しみなのです、察しましょう。
その事を考えると、裏琶琉君は全力で木を傷付ける事を嫌がります、如何にかして止めさせようと必死の抵抗をします。
さなからその様子は、自分の我が子を守ろうとする母親の姿にも似ています、そんな事言ったら裏琶琉君に真っ二つにされそうですが。
事実、裏琶琉君にはあのネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲似の木が、自分の分身、同士の様に感じられて、妙な愛着が生まれてしまっています。

「お…オイ! お前の左のポケットを見てみろっ!
飴だっ! それをくれてやるから、頼むからあの丸2つに棒1本の木には傷をつけないでくれ!!」

飴玉の効果は絶大だった、その事を聞くと表琶琉君はポケットを探って、ピンク色の紙に包まれた1つのバター飴を見つける。
裏琶琉君は内心悲しかった、あの飴は後で1人で食べようととって置いたのに、こうやって自分が裏人格に回っている時は、味覚みたいな割と如何でもいい感覚は、何と無くぼんやりというか、もったりというか、そんなしか感じられないので悲しい。
今回の飴も、表琶琉が食べている間、裏琶琉はただ『甘い』という感覚だけ感じていて、甘酸っぱいとか、甘しょっぱいとか、細部まで味がわからないまま、飴が溶けてなくなるのを感じました。
でも、これであの木が切られないなら……。

「でもさ、それとこれとは別だよね!」

 正 に 外 道 ! ! !

その朝日の様な笑顔の何処に、そんな恐ろしい鬼畜の本性を隠し持って居るのか!

表琶琉君は、ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲似の木の蹂躙を止めることはありませんでした。

裏琶琉君は泣きました、泣いて、鳴きました、ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲似の木が表琶琉君に蹂躙される様を見て、無残に転げ回る事しかできず。
数本目、もう数を数える気力もありません、だいたい3本目の木に傷をつける頃には、その木がネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲に似ていなくても、あまりの衝撃にのた打ち回り、哀れの極みを生きたのです。
詳しくは私の口からは語る事が出来ません、筆舌尽くし難いとは正にこの事なのですから、彼の苦しみは貴方が、貴方の心が察してあげてください、そして慈しんでください。

そうして、100本目の木に傷をつける頃になると、そろそろ星の光も弱まって、夜明けがやってこようとしています。
薄明かりが差し込む森の中、元気が有り余る子供と言えど疲れた琶琉君は、その場に座り込むと、30本目を傷付けた時から静かになったもう一人の自分へ話し掛けました。

「えへへ…やっぱり良い考えだった、これでもう直ぐお家に帰れるよ!」

返事は返ってきません、裏琶琉の気配は感じるのですが、そこから返事が返ってくることは待てども待てどもありません。
心配になって、表琶琉君は目を瞑り、深く息を吸って自分の心の中を覗き込み……。

「うっ!」

絶句しました。

「こいつ……死んでる……!!」

口調が変わってますよ、琶琉君。
正確には裏琶琉君は死んではいません、ただ少し瞳孔が開ききって、力無く四肢を投げ出して、瞬き1つせず、口から泡を吹いているだけです。

「だだだだだだだだいじょうぶっ!? どうしたの!!? 何があったの!!??

非常に申し上げ難いのですが、そこで心配そうにしながら裏琶琉君の体を揺さぶる貴方、貴方のした外道の所業が彼をあぼんさせてしまったのですが。
別に水不足でもないのに、カピカピに渇ききった裏琶琉君の唇から、蚊の泣く声の様なか細く小さな声が紡がれます。

「我輩……女の子になっちゃった……わ」

「そんな事無いよっ! ちゃんと僕とお揃いのち○ちんついてるよっ! なんでそんな事言うの?」

主に貴方がやった(略
そう言うと、表琶琉君は裏琶琉君のズボンを脱がせると、裏琶琉君の股間部分をがっしと握りました。
なんででしょう、ドルミンがやるとあんなに汚らわしい行為だというのに、この2人がやると一気に微笑ましくなります、もっとやれという気分になります。

「去勢……されちゃったわ……」

「何言ってるの!?
うー…もう直ぐ村に帰れる筈だから、そうしたらきっと良くなるよ、がんばって!」

琶琉君は自分の心を覗き込む事を止めると、木に傷をつけることも忘れて、森に迷い込んでしまった時と同じく猛然と走り出しました。
ただ真っ直ぐと、走り続ければ村へ帰れると信じて。


それから数分後、彼は森の中から人家の明かりを見つける事になります。
ですが、それが彼等の、元いた村の明かりではありません、彼等の住んでいた家の明かりでもありません。
彼等が元の家を飛び出した事が旅の始まりだったなら、彼等がこの森の中から人家を見つけた事が物語の始まりなのです。




琶琉君は、時間から取り残されたかのような雰囲気を纏った、大きな大きな教会に、大聖堂に辿り着きました。




お後は次の、お楽しみ。

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。