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SS:狂符「夢枕でご先祖様総勃ち」 [小ネタ]

自分は大型のリヴリーが大好きなんですよ、ショウジョウダルマとか。
で、中型のカンボが私の中でフィーバーしちゃったのは、たぶんあの目元と牙だらけの口だと思うんですよ。
かっわいいですよね、ピグミーとかと違って、噛まれたら絶対流血沙汰必死の肉食の牙ですよ。
カンボ、きっと触ったら体は羽毛だと思うですよ、始祖鳥とか、そんな系しませんか?
でも、爬虫類と鳥の中間っぽいけど、カンボってオーガの親戚なんだとか。
つまり何が言いたいかと言うと、カンボがいとおしくて死にそうって事ですよ、ハイ。
曽根さん、今年のハロウィン期待してますって事ですよ、ハイ。


十三夜記念SS
骨酒

登場人物:おじさん 名無し

お酒はハタチになってから。

ほのぼの度:★☆☆☆☆
精神有害度:★★★☆☆
(久しぶりのおじさんちの話です)
(名無ししたい放題)
(妄想では済みません)




骨酒



本日は十三夜の名月、十五夜と違って月見をする人間も少ない。
本来なら涼しい縁側などですれば風流な月見も、大都会東京のマンションでは、ベランダを開け放ってそこで月見をするのが精一杯だ。

今日に入ってから風が少なく、雲も厚かった故、月が出るのかと少し心配だったが、要らぬ心配だったらしく、今は見事な朧月を空に晒している。
一口、口に含んだ酒は辛い、この酒以外の物は同居人達が勝手に用意した物だが、なぜだか知らないが月見の準備だというのに酒だけが無く、仕方なく自腹を切って買った。
別に酒が好きというわけでもない、月見が三度の飯より好きという訳でもない、だが、折角お膳立てされているのなら楽しまなければ損。
その上奇妙な事に、普段は立っている者は親でも使えと言わんばかりの上司が、珍しく俺が12時以降以外に帰る事を許した事も、その理由に拍車を掛けている。
ある意味、本当の意味で『全て』お膳立てされているのか、そうとも考えてしまうのは、俺のサガか。
それにしても奇妙な事に、今日に入ってから同居人達の誰にも会っていない、まったく何処をほっつき歩いているのやら。
まだ真新しいじんべえの衣擦れが心地良い、もう完全に秋色の空気は少し冷たく感じる、今年の冬の訪れは早い。
虫の声を耳に、杯を傾けると、蟲以外の何かの声が聞こえた。

「隣、借りますぜ」

返事を待たずに隣にどっかと胡座をかくのは、刺青人形、普段着ている水干と違って今日は藍色の浴衣を着ている、寒くないのだろうか?
俺と目が会うと、刺青人形はいやらしく口元を曲げで、死にかけの重病人の咳のように笑って、何処からか持参してきた自分の杯に酒を注ぐ。
もうこの際、コイツの年齢を指摘するのはヤボだと思って止めない、傍目から見れはまだ小学生のガキに酒を飲ませている様に見えるのだろうな。
普段ボサボサの紫色の髪は、今日だけ何かで固めてあるのか、後ろ向きに全て撫で付けられている。
大方、他同居人の暇潰しにでも巻き込まれたのだろう。

「お前、居たのか」

服装も何時もと違う浴衣という事もあって、全身に彫られた刺青と、人形独特の球体関節が否応なしに目に映る。
更に、人形がどうやって物を消化しているかとかは、聞かない様にしよう、世の中に走らなくて良い事も沢山あるのだ。

「ゲヒッ、そりゃあ酷いでゲスよ、旦那」

刺青人形は俺の酒を構わずにぐびぐひと飲む、飲むことを許しはしたが、飲んでいいと一言も言っていないというのに、勝手な奴。
安酒と言えど、体を温め、酔いを起こすには十分なアルコールを含む、俺も早く酔ってしまいたい。
喉を通る酒は熱い、美味くはない、本当に酔うためだけの酒といった感じで、正直な話もう少しまともな酒を買ってくるべきだったと、心中後悔した。
だが、刺青人形はそんな事お構い無しに安酒を美味そうに飲む。
ヤツが一杯飲み終わった所で、酒瓶を取って一杯注いでやると、哀れっぽくまた笑うと、刺青人形はその酒を一気に喉へ押し込む。
まさか人形に酌をする事が来るだなんて、人生は何があるか解らない物だ、できるなら遭遇したくなかった出来事だ。

「そういや、お前以外のヤツにあってねぇんだが、お前何処行ったか知ってるか?」

「さア? 知らんでゲス」

「そうか……」

それを聞くと、俺の耳に息を吹きかける様に、ねっとりとした言い方で刺青人形は喋りだす。
月は美しく、風流が理解出来ない訳では無いが、朽ちた岩や木に齧り付いて、何時間もうんうん唸れる程、俺の精神は高尚では無かった。
互いに暇になってきた事もあってか、酒が早く進んで、隣のコイツも何時もよりも酷く耳障りな言い方で、俺は背筋に芋虫を這わされたような気分になる。
ぶるり、身震いをする、寒さからの物ではないだろう。
夜になってやっと吹いてきた風が空の雲を押し流して、朧月だった十三夜の月は本来の輝きを、地上に向って降ろしていた。

「こぉんなに月が綺麗な夜は、一人か二人、いや十人、死体になって帰ってくるやもしれんでやんす、ゲヒヒヒヒ」

「或いは死体になるのは俺かもしれねぇな」

一瞬、刺青人形は俺の事を舐めるように、値踏みする様に見た、緑色の目。
緑の目は嫉妬の象徴なのだと、その昔の学生時代に見た何かで知った気がするが、何分本当に昔の事過ぎて覚えていない。
細い目がさらに細められて、今の俺を見ているコイツの目は糸の様に細い、今空に浮ぶ月とは違うため月に失礼かもしれないが、そう、三日月の様に。

「ゲヒヒ、勘弁勘弁、冗談でやんす」

刺青人形は自分の少しはだけてしまった浴衣を直す、チラチラと膝の関節が見えて、本当にコイツは人形なのだと実感した。
何時もの卑屈で、媚び諂う様な態度に戻って、俺の手に持った杯に一杯注ぎいれ、また愛想笑い。

「ま、そん時はこれでも弔い酒にして、適当に葬ってくれや」

手にもった杯を、刺青人形に差し出すように見せると、一息に飲み干して次の酒を注ぐ。
俺にも、大分酒が回ってきたらしく、体が熱い、先程の薄ら寒さはもう感じなくなっていた。


「なァに言ってるんでゲス、だァんなァァ!」


後頭部が痛い。
どうやら、押し倒されたらしい。
視界をずらすと、取りこぼした杯が酒を零している。
痛みに揺れた目の焦点を合わせると、自分の視界に入るのは、月光を遮るように俺の上に乗っている刺青人形。
月光に照らされた孔雀の尾の刺青が、生き物の様に揺らいだ気がして、元から自分の脳を溶かしていた酔いが少し覚める。
刺青人形の体は悲しいほどに軽かった、浴衣から覗いた腹は、肋骨が浮いて痛々しい。
だが、俺を見下ろす緑眼を見ると、それを哀れむ心も薄れて飛んだ。
身が竦む事は無いが、目だけが生き物の生々しさを発しているというのは、想像以上に居心地悪く、不気味に感じる。

「アンタ死んでも寺にはやらぬ、骨を粉にして酒で飲む」

刺青人形は俺の頬に手を当てて、呟くように、言い聞かせる様に、俺の三半規管に言葉を刻む。
呟いた本人も、その言葉を耳に沁み込ませる様に、自分の言葉に長い余韻を掛けながら口元を歪ませる。
何時もの卑屈で、他人の都合の良い様に聞こえる調子を、この時刺青人形は完全に捨てて、完全な素だった。
それとも、これも演技の一つか。

「そりゃ……随分と熱烈なプロポーズだな」

「ゲヒヒヒヒヒヒヒ、ゲヒッ、受け取って……くれやすかい?」

次に刺青人形が口を聞いた時、全ての物は元に戻って、まるで夢の中の事の様に錯覚しそうだ。
だが、彼の体の上に何かが乗っている事に変わりは無い、重くは無いが、半端に元に戻るぐらいなら全て戻って頂こうか。
俺の上に乗った人形を、片手に力を込めて転がす様に動かす。
すると、簡単に重さは消えた。


「それならこんな安酒じゃなくて、上等な大吟醸で頼むぜ?」


空を見ると、先程まで雲が晴れていた十三夜の月にまた雲がかかっていて、今度は黒雲らしく、月の大半が隠れてしまう。
もう一度飲み直そうと口に運んだ酒を、見えなくなった月の様に、美酒を思い浮かべて飲む。
目を瞑って飲んだ酒は、安酒も大吟醸も変わらなかった。

目を瞑ったまま聞いた蟲の声に微かに良く知った声が混ざっているような、そんな妄想を思い浮かべて、消した。

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定晴

ぬぁぬぁしくぅぅぅぅぅぅん!!!!←
あ、はい、熱烈ファンでごめんなさい
そうだ!ドルミンくんを拉致らせて頂きましたコソコソ((
不慣れなもんでクソ以下のものになっていますが業火で燃やしたり地割れの中に放り込んでやってください
by 定晴 (2008-10-18 21:01) 

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