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小説:締め切りは8月 [拉致]

ドルミンの擬人化絵を書いて頂いた、Kiru様宅から、ありがたい事にピュンパ君をお借りさせて頂きました!
Kiruさん、本当に待たせてしまってごめんなさい、更にうちの子が狼藉を働いています、ごめんなさい!
口調とか、これであってるでしょうか…気に食わなければ裏に格納します!

此方文章はKiru様のみ、お持ち帰り、転載、頂けます。



隣人は狼藉者
~鳩胸殺人事件~
【腰蓑は見た】

登場人物:ドルミン、ピュンパ君を筆頭としたKiru様宅御一行様

ドルミン度:★★★☆☆
精神有害度:★★☆☆☆
(秘宝○を知らない子は、親に聞くと良いよ)
(ドルミンの安否はご想像にお任せします)
(長くないです)






「呼ばれて飛び出て何とやらぁ~! はじめましてなぁのだよ~!」

「おい、お前」

「何かね?」

「アステから足を退けろ」





隣人は狼藉者





ピュンパはとても頭が良い。
同じ年齢の他リヴリーが、ピュンパと頭脳を競っても到底及ばない程。
でも、彼自身がそれをひけらかす事も無い、そして、その知恵の使い方をよく考える思慮深さは、彼の中に根強く息づく。

ピュンパは賢い。
何が無駄で、何が有益かをとても熟知している。
だからと言って、彼自身無駄な事を根絶やしにしたいとは思わないし、最低限の冗談のセンスなら持ち合わせている。

ピュンパは強い。
あの怪物の森の奥深くまで切り込んで、生きて帰って来た。
怪物の森へ赴いた時は、仲間がそこで危機に陥っている可能性を知った時、我が身も省みずに飛び込んだときの話だ。


そして、ピュンパは彼に興味が無い。
全くといって良いほど、彼に対する興味が無い。
当初は何度か相手にしたこともあったが、何度目かの会話の時、彼との会話が不毛なイタチごっこだと確信し、以降は彼が島にやってきても無視することに決めた。


その日、空はやや曇ってはいたが、雨上がりと言う事もあって比較的涼しく、秋の始まりとしてはとても過し易い日だった。
半データの空気ながら、当り一体にまだ未熟ながら実りの匂いが漂い、今日一日を過ごす者を祝福しているような。
その通り、この空気を胸に一吸いすれば重病人の病もたちどころに治りそうな、素晴らしい一日になりそうだ。

此処、あるとがらず島の島主には、この素晴らしい秋は絶好の『読書の秋』と言う物だ。
新しく買った本、かなり古く、自分が生まれて始めて見た時自分はまだ物心付かない子供だった覚えがある。
その古く擦れてしまった記憶を辿って、この本を探したのだが、なにせ自分が此の世に生を受ける3年前に絶版になってしまったため、見つけるのには酷く困難だった。
もっとも、見つけたのはルミネであって、自分ではないのだが。
ルミネもとても苦労しただろう、この本は数も少なく、古く、もう管理パークの閲覧禁止棚に置かれている程の物だと言うのに。
今回の事を含めてルミネには随分と苦労をかけた、今度島に立ち寄る事があったら、大福の一つでも手土産にしてやろうか。
心中、薄桃と白の混ざり合ったゲッコウヤグラを思い浮かべる。

あるかとらず島に一陣の風が吹くと、渦巻く風の中心には、派手で趣味の悪い身形をした小人が、満面の笑みを浮かべて現れる。
彼はドルミン、彼の友人達は揃って彼の事を変態と言うような者で、彼自身はそれを否定しているが、もう既に彼の趣味の犠牲者から通報されて、留置所に120回以上は繋がれた経験がある。
もっとも、彼に友人がいればの話だが。
米粒の様に小さな体で島に置いてあるベットににじり寄ると、ドルミンは返事が返ってこないと知っているのか、知らないのか、今日もまた挨拶をする。

ヒュンパは全く、目線すら向けずに読書を続ける。
木の葉のベットの上に気だるげに頬杖をついて読書をしているのは、緑色の鮮やかなホオベニムクチョウ。
一見すると女の様に美しく、それでいて凛々しさと威厳に満ち溢れた美人だか、その事を本人に言ったなら、その言った者はそれが最後の仕業になるだろう。
彼は、ピュンパはリヴリーの中でも最近珍しくなってしまった、両性具有の体を持っては居るのだが、彼自身の人格は完全な男なため、自分の顔が女性に見間違われる事を酷く嫌う。
現在この島に来訪したドルミンも、初対面の時『大和撫子』と言ってしまって、そりゃあもう大変な仕置きを受けた物だ。

激しく楽しそうに、猥談をするドルミン。
それの最初の二言だけを聞いて、ピュンパはまた心の中で自分の耳に耳栓をして、読書の続きを再開した。
最初の二言だけを聞いておくのは、自分の主観のみでの判断を防ぎ、それによる自滅を防ぐ為の行動である。

ピュンパは彼に何の興味も無かったが、あまりの五月蝿さに無視しきる事が出来ない事もある。
頭の何処かで思考した。
また、猥談、くだらなく下卑た話で、ともすれば耳が腐り落ちそうだ。
一体何が楽しくてこの小人はこんなに話をするのだろうか、自分の身の回りに居る者は皆、一応は人の話は聞く事が出来るし、相手が嫌がる事はそうしない。
だが、この迷惑な小人はある日突然島に現れると、一言挨拶を交わした次の瞬間から、自分の都合お構いなしに九官鳥の如く自分の話を紡ぎ続けて、何が楽しいのか勝手に笑っている。
まったく、度し難い、切り捨ててやりたい程だ。

所構わず自らの話を垂れ流すドルミンは、ピュンパの着物の様な服の袖をよじ登ると、読書をしているピュンパの二の腕に乗って、また話を続ける。
対して、その無礼な小人へ送られるのは視線でも言葉でもなく、白魚の様な手から繰り出される叩き。
それ程力を込めていない叩きがドルミンに命中すると、小さなドルミンはコロコロと坂を転がる様にピュンパの腕から叩き落され、受身を上手く取る事が出来ないまま、地面に叩き付けられた。
地面に叩き付けられたドルミンは、5秒ほど静かになったかと思うと、直ぐにまた動き出して、もっともっとと、自分を叩く事を要求し始め、更に五月蝿い。

これだけ見ると、ピュンパはとんでもない薄情者に見られるかもしれないが、そんな事は無い、これでも最大の譲歩をしている方だ。
考えても見てくれ、毎日毎日昼夜問わずアホが現れて、汚らしい話を延々縦並べられる事を、想像しなくても想像を絶するストレスなる。
ドルミンがこの島に来た当初は相手にして居た、と、最初に言ったが、それも殆どはピュンパがドルミンを全力で撃退するための行動が主だった。
本来ピュンパは寛大だが気高い、こんな無体で無礼な侵入者を許すはずは無く、何度も何度も追い返していたのだが……。
ドルミンはどうしようもないバカだった、どれだけ雷を落しても、どれだけ追い出しを使っても、それでもドルミンは島に来た。
最終的にはこの手の手合いによく効く『無関心』の盾を貼って、完全に彼の存在に背を向けて全てを済ませる。

ピュンパがこの無関心を始めてから、かれこれ10日が経過したが、ドルミンはその事に気がつく様子が無かったが、今日は違った。
少し何か言いたげに笑ったかと思うと、口をつぐんで黙った、一体何の風の吹き回しだろうか。
真意は解らないが、ピュンパの周りをうろうろとしていた目障りな生き物は、今、目障りだった原因を全て失った状態になった。
そしてその後数分黙っていたかと思うと、地にしこたま打ち付けた部分を摩りながら、追い出しで叩き出す以外、話を中断して自ら帰っていったのだ。

秋風を纏った風が、音も無くピュンパの頬を撫でる、どうやら本当にドルミンは何処か別の場所へ行ってしまったらしい。
辺りは一気にしーんとして、心に染み入る様な鈴虫の音色が何処からともなく聞こえる、先程まで愚か者が居たとは思えない静寂。

あの小人はいい加減反省したのだろうか、いや、安心は出来ない、また何やら持ってきて大騒ぎを始めるかもしれない。
だが、無駄な警戒は自分の神経を削ってしまう、来たら来た時に迎え撃てば良いではないか。

ピュンパは安堵して、また知識の世界に深く深く沈んで行った。




それから数時間の後、また秋風を巻き上げてあるとからず島に来客が来た。
2匹のクンパと、1匹のゲッコウヤグラ、1匹のジュラファンド、そして1匹のムシチョウ。
この5人は、同じ『正義の旗に』と言う、ピュンパを筆頭にしたチームの仲間同士で、個人的な親交も深い。
いわば、ピュンパの盟友とも言える存在なのだが……。

「「ピュンパー…うわぁっ!」」

「ピュンパさ…ヒィッ!」

「ぴ……ピュンパ?」

5人は全員が揃って、島に降り立った次の瞬間悲鳴を上げた。
2匹のクンパは互いを抱き締めあって怯え、ゲッコウヤグラは今にも倒れそうになり、ジュラファンドは混乱で思考がついて行かない事が言葉から伝わる。
ムシチョウに至っては、普段お喋りなのだが、絶句しすぎて次の言葉を出す事が出来ないで居る。

流石のピュンパも、この状況になってそれを無視することは無かった、彼は自分を愛する者には基本的に優しく、仁義は通す。
その日に限ってなぜ悲鳴を上げるのだろうか、自分に何か異常でも見たのだろうか。

「どうしたんだ、お前た……」

ピュンパは顔を上げて、怯えた声を上げた4人を見ようとしたが、その前にピュンパ自身も絶句した。

黒い体のムシチョウが、やっとの事で恐る恐る、恐怖とも驚きとも付かない物で竦みあがった声で、あまりの出来事に固まったピュンパに声をかける。

「あの…先輩……生き方変えたんですか……?」

このあらゆる意味で無敵なムシチョウを驚かせる事も当たり前だ、ピュンパが数時間ぶりに目を移したあるとからず島は、最早彼等が知っているあるとからず島では無く、見る影も無い程の惨状で。
地面からは御柱(比喩的表現)を模した木彫りの何かが多数突き出て、そこいら中に男女のジオラマ人形が48個フル・コンプリートで飾られていたり、見慣れない字(多分インド語)で書かれた絵付きの本がピュンパの蔵書と仲良く並んでいたり、その他木馬とかプップ○ドゥとか、一寸法師とか、蝋人形とか、あるとからず島は熱○名物、秘○館と化していた。

ピュンパは、

「うわぁぁぁぁぁん!!」
「パソスー! パソスー!!」

地面から突き出た、何に使うのかは知りたくも無い様な体の一部分を締め付ける機械に、うっかり指を入れてしまって、此の世の終わりの様な声を上げる双子を見て。

「あ…あれ…意識が……遠く…」

その直視するに耐えない惨状に、精神の糸が耐え切れなくなって意識が飛び掛り、御柱(比喩的表現)に凭れ掛かってしまっているゲッコウヤグラの姿を見て。

「ピュンパ…何か辛い事があったなら、言ってくれていいんだよ?」

自分に何か異常が発生したのかと思ったのか、あくまで優しく自分を心配する幼馴染のジュラファンドを見て。

必ずこの後始末は本人にやらせようと、ピュンパは硬く決意し、自分の体に秋風を纏わせる。




数分後、嗚呼悲劇脱出不可能島から断末魔の叫び声が響き、翌日には島は元通りになった。
あの謎の下品なアイテムの出所は、一体何処だったのか、それは結局謎のまま迷宮入りをした。

隣人の狼藉が止んだかは、これを見ている方のご想像にお任せしよう。

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コメント 3

儚空 未羽衣

初めまして!
先日は訪問ありがとうございました!

コメントもありがとうございました><*
胸に沁みます><*


あたしには文才がないので、こんなに綺麗に書ける
のはすごいですね///
読んでいて不思議な気持ちでした^^*


ドルミンさん、お誕生日おめでとうございます//!!
これからも長生きしてくださいましvv
そして素敵な企画をやっているではありませんか!!ドキドキ

応募させて頂いてもよろしいでしょうか?^^//


これからも更新頑張ってくださいませvv
お邪魔しました^v^*
by 儚空 未羽衣 (2008-10-06 11:23) 

o-sami-o

はじめまして!

キリ番応募ありがとうございます。。
ということで早速今日プレートを作成しました。
近日中に更新しますので少々お待ち下さい。

ddの方ですが、明日は委員会があり具体的な時間が不明です。
そのため水曜日or木曜日の17:00ごろか
金曜日9:00~17:00ならOKです。
いずれかの時間を選んでコメント、
或いはメッセージでお返事お願いします。

長文失礼しました。
by o-sami-o (2008-10-06 16:51) 

o-sami-o

再びすいません。補足します。
時間は10分単位で細かく連絡下さい。
また受け取り場所は★ディリー★島とします。
by o-sami-o (2008-10-06 16:53) 

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